カテゴリ:不当解雇



2023/04/11
「突然解雇を言い渡された。 納得できないと行動を起こしたら、今度は、説明なしで一方的に解雇撤回の通知があった。どうすれば良いか?」という相談があった。 解雇の言い渡しの撤回は、契約の解除の意思表示にあたるところ、民法(520条2項)は、解除の意思表示は、撤回することができないと定める。 したがって、解雇の言い渡しの撤回は、使用者による一方的な行使は許されず、労働者の承諾が求められる。
2021/05/29
どんなに退職届(願い)への署名を迫られても、「持ち帰って家族と相談をしたい」とその場での署名を避けたうえで、早急に専門家へ相談をというのが退職勧奨にかかる労働相談が勧めるセオリーである。 そこには一旦署名をしたら終わりだという前提があるようだ。 でもその前提は正しいのだろうか。 対等な市民間の契約関係を規定する民法の規定によれば、自由な意思によらない意思表示は取消すことができる(民法95条、民法96条)。 労働契約関係においても同様である。 否、使用者との関係で経済的弱者である労働者保護の立場から一般的な契約関係以上に労働者の自由意志は尊重されなければならない。
2020/12/05
解雇を撤回され出社を会社から求められた、困惑しているとの相談を受けた。 復職したくない、どのように対応したらいいかという相談である。 原則として、解雇の意思表示が労働者に到達した後は、使用者がこれを一方的に撤回することは許されない(民法540条2項)。 ただし、従業員の同意があれば話は別です。 本件の場合、従業員が解雇の撤回を求めていたことから、同意があったと解される。 正当な理由なく出社を拒否すれば、それを理由に改めて解雇を言い渡されるリスクがある。 撤回日以降の賃金を請求することも難しくなる。 したがって、いったん復職をして様子をみる以外ないように思える。 しかし、どうしても復職をしたくないのならば、解雇日から撤回日までの未払い賃金の支払いを受けて退職するのも一つの選択肢だ。
2020/12/01
不当解雇された相談者からの数ある質問のひとつに解決金はいくら取れるかというのがある。 職場復帰ではなく金銭解決を望んでいる場合である。 事案(正社員か契約社員か、勤続期間の長短、解雇の悪質性など)により千差万別だと答えるしかない。 しかし、それでは答えにならないであろう。 実際の解決金額は相手である使用者との交渉の結果であることから幅が大きい。 しかし、ほっとユニオンの要求額には一定の方針がある。 以下において、取り扱い件数が比較的多い勤続期間が短い案件についていままで経験した具体的な事例をもとに要求額を整理をしてみることにする。
2020/09/26
不当解雇についての相談は多い。 解雇は違法・不当で納得ができない、しかし、いまさら職場に戻るつもりはないという相談者は少なくない。 復職ではなく、損害賠償(慰謝料)を請求したいという相談である。 裁判手続において客観的な証拠が十分でない場合、立証責任をどちらが負うかは、決定的な違いとなる。 事実を証拠に基づいて証明できない場合、立証責任を負う側が敗訴することになる。 当然、このことは裁判外での交渉にも影響を与える。 裁判外の交渉においても、交渉が決裂して裁判手続に移行した場合どうなるかを、使用者も頭に入れて交渉に応じるからだ。 すなわち、復職ではなく金銭解決を求めるにしても、とりあえず解雇無効を主張して復職を求めるほうが、使用者に与えるプレッシャーはより大きいものとなる。 また、交渉により得られる金銭解決の水準も結果として高いものとなる。