☆解雇撤回には労働者の承諾が必要!☆

突然解雇を言い渡された。

解雇に納得ができないことから労働基準法22条に基づき解雇理由証明書の交付を使用者に求めたら、今度は説明なしで一方的な解雇撤回の通知があった。

解雇言渡しまでの経緯、及び説明なしの一方的な解雇撤回の通知などから、使用者への不信感がつのっている。

どのように対応すべきか戸惑っているとの相談があった。

 

解雇の言い渡しの撤回は、契約の解除の意思表示にあたるところ、民法(520条2項)は、解除の意思表示は、撤回することができないと定める。

したがって、解雇の言い渡しの撤回は、使用者による一方的な行使は許されず、労働者の承諾が求められる。

 

現実には、使用者による解雇撤回を受け入れ復職する労働者は多い。

この場合、解雇言渡しから解雇撤回まで就労できなかった期間の給与の支払い義務を使用者は免れることはできないことは当然である(民法536条2項)。

 

しかし、恣意的な解雇・一方的な解雇撤回という納得できない対応をした使用者に対する不信感などから復職に不安を感じる労働者も少なくない。

そのような労働者には、安心して働けるための復職条件の明示を使用者に求めることをアドバイスしたい。

 

明示を求める復職条件としては、復帰時期、復職後の部署、賃金切り下げなど不利益な取り扱いのないことの約束、職場の人間関係を含めた職場環境の整備などが考えられる。

なお、使用者側の事情で復職環境が整わないことから就労できなかった期間について、使用者が賃金支払い義務を免れないことは、解雇撤回までの不就労期間についてと同様である。(直井)

 

 

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☆解雇を撤回された、困った!☆

解雇を撤回され出社を会社から求められた、困惑しているとの相談を受けた。

復職したくない、どのように対応したらいいかという相談である。

話を聴くと、以下の事情があった。

 

弁護士に依頼して不当解雇の撤回を求める内容証明郵便を郵送した。

しかし、相談者の本音は、復職ではなく金銭解決を求めることにあった。

 

弁護士からは、はじめから金銭解決(損害賠償)を求めるのではなく、まずは解雇無効を主張して復職を求めたほうが交渉上有利だとアドバイスをうけた。

弁護士のアドバイスに従ったが、それが裏目にでたということだ。

 

原則として、解雇の意思表示が労働者に到達した後は、使用者がこれを一方的に撤回することは許されない(民法540条2項)。

ただし、従業員の同意があれば話は別です。

本件の場合、従業員が解雇の撤回を求めていたことから、同意があったと解される。

 

正当な理由なく出社を拒否すれば、それを理由に改めて解雇を言い渡されるリスクがある。

撤回日以降の賃金を請求することも難しくなる。

 

したがって、いったん復職をして様子をみる以外ないように思える。

しかし、どうしても復職をしたくないのならば、解雇日から撤回日までの未払い賃金の支払いを受けて退職するのも一つの選択肢だ。

 

ただし、出社前に以下のような復職条件についての交渉をする余地はある。

・撤回日から復職指定日までの期間が短い場合、出社準備のための期間を求めること。

・復職後の就労場所、就労条件が明確でない場合、会社に説明や協議を求めること。

・解雇日から撤回日までの賃金の取り扱いについて不明の場合は、撤回までの未払い賃金の支払いを求めること。

 

復職条件の交渉がまとまらないうちは、会社の受領拒否が続いているとしてその間の賃金を請求することも可能です。

なぜなら、解雇の撤回により、それ以降の賃金が発生しないというためには、その前提として、会社が労務を受領しないとの態度を改めて、受領拒絶状態を解消する措置を講じる必要があるとされているためです。(直井)

 

 

 

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☆労働トラブルにおける労使それぞれの真実☆

解雇撤回を求める使用者との団体交渉で次のようなやり取りがあった。

 

ほっとユニオンが、使用者から労働者に交付された解雇理由証明書に記載の具体的な解雇事由について一つひとつ問い質している中で、次のことが判明した。

使用者は解雇トラブルについて相談のため管轄の労働基準監督署を訪れていた。

対応した基準監督署の相談担当者は、使用者の説明を前提に、解雇理由証明書の書き方をアドバイスした。

 

使用者は相談担当者のソフトな対応から、解雇の正当性についても基準監督署のお墨付きを得たと感じたようだ。

そのこともあってか、団交の場において使用者は、解雇には正当な理由があるから、交渉で解決のために譲歩するつもりは一切ないと、強い主張に終始した。

それでも争うつもりならば裁判所へ訴えろと、えらく強気であった。

 

他方、労働者も解雇を言い渡された直後に基準監督署に駆け込み、相談をしていた。

基準監督署の相談担当者は、労働者の話しを前提に、解雇に納得できなく争うつもりがあるのならば、労働基準法22条の規定に基き具体的な解雇事由を記載した解雇理由証明書の交付を使用者に求めることをアドバイスした。

 

労働者から解雇理由証明書の交付を求められた使用者がその書き方を同じ基準監督署に相談に来たのだ。

解雇理由証明書は、使用者にとっては、基準監督書のアドバイスにものに作成したものである。

 

対応した担当者はそれぞれ違うようだ。

労使それぞれは、必ずしも客観的とはいえない、それぞれのバイアスのかかった事実を基準監督署の担当者に説明する。

 

相談担当者は、それぞれから聴いた話しを前提にしてアドバイスをする。

アドバイスに従って行動した労使双方はともに基準監督署は自分の味方であると思い込んでいる。(直井)

 

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