☆無断欠勤を理由とする自然退職☆

上司のセクハラ行為が原因で体調を崩し1か月ほど出勤できない状態が続いていたところ、会社から突然、無断欠勤が1か月以上続いているので就業規則の規定に基づき自然退職とするとの通知がきたが、納得ができないとの相談があった。

 

自然退職とは、就業規則や雇用契約に定められている事由を満たした場合、労働者や会社の特段の意思表示(退職する、解雇するなど)がなくとも労働契約が自然に終了し退職扱いとなることをいう。

 

就業規則に規定のある自然退職の代表的な事由としては、「病気休職期間が満了しても復職できない場合」がある。

特段の意思表示を必要としないという点で定年退職も自然退職の一種である。

「一定期間続いた無断欠勤」が自然退職の事由として挙げられることもある。

 

確かに、本件会社の就業規則には、「会社に届出のない欠勤が連続1か月に及んだ場合、1か月を経過した日をもって退職とする。」との規定がある。

しかし、労働者にとって退職は生活の糧を失うという重大時であることから自然退職手続きにも一般の解雇手続きと同様な配慮が求められる。

 

会社は長期間の無断欠勤の社員本人に対し積極的に連絡を取り社員の状態を把握すべく努める義務がある。

会社は社員に対して、安全に働く環境を提供する義務を負っているからである(安全配慮義務、労働契約法5条)。

 

本相談事例の場合、会社は、欠勤者の状態や意思を積極的に確認しようとすることもなく、ただただ1か月間の経過を待って自然退職の通知を発した疑いがある。

また、欠勤の原因が上司のセクハラなど会社に原因がある場合は別の配慮が求められることも当然である。

 

 

したがって、本相談事例においては自然退職の事由(無断欠勤)に該当するという会社の主張は疑問であると言わざるを得ない。(直井)

 

 

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☆コロナが怖い!☆

大都市圏を中心としたコロナの感染拡大が止まらない。

首都圏の幼稚園に勤務する女性から夏の恒例の行事である2泊3日の研修を兼ねた高原キャンプに参加したくないとの相談を受けた。

 

相談者は、もともとはその時期に帰省して郷里の法事に参加する予定で有給休暇を申請していたが、コロナ感染を心配して帰省を辞めたら、園長から、帰省しないならば県外で実施される高原キャンプに参加するうように指示されたという。

 

高原キャンプには幼稚園の経営主体である教会関係者も多数参加する。

教会関係者でもある園長にとっては重要な行事であり、かつ、楽しみにしている夏の行事だ。

 

相談者は集団生活でコロナをうつすのも、うつされるもの怖い、帰った後に園児にうつすのも怖い、と感じている。

園長にコロナ感染が怖いので、高原キャンプ研修には参加したくないと申し出たら、心配しすぎだといわれたとのことである。

 

使用者には従業員が自らの生命、身体等の安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をする義務がある(労働契約法5条)。

配慮すべき「身体等の安全」には当然「心の安全」も含まれる。

コロナ感染が怖いと感じる程度には個人差がある。

当該従業員が本当に怖いと感じている以上、使用は一定の配慮をすべきだ。

 

そもそもこのような時期に業務命令として県外へのキャンプ研修への参加を従業員に強制できるかは疑問である。

さらにいえば、幼児を預かる幼稚園の責任者として園長の対応には問題があるといわざるを得ない。(直井)

 

 

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