2023/04/11
「突然解雇を言い渡された。 納得できないと行動を起こしたら、今度は、説明なしで一方的に解雇撤回の通知があった。どうすれば良いか?」という相談があった。 解雇の言い渡しの撤回は、契約の解除の意思表示にあたるところ、民法(520条2項)は、解除の意思表示は、撤回することができないと定める。 したがって、解雇の言い渡しの撤回は、使用者による一方的な行使は許されず、労働者の承諾が求められる。
2022/09/02
3か月の派遣契約を2年ほど更新し続けてIT業務担当として働いていた派遣社員から相談を受けた。 「派遣先の体制変更」を理由として次回の更新をしないという通知を派遣会社から受けた。 同じ職場に派遣されている同僚の派遣社員は2名いるが、雇い止めを言い渡されたのは相談者だけらしいとのことである。...
2022/07/26
正社員募集に応募したら、採用面接において、6か月間の有期契約書への署名押印を求められ、そのあげく、6か月間経過後には正社員登用の約束は反故にされた。 しかし、試用期間としての性質を有する有期契約においても、会社は自由に正社員への登用拒否(本採用拒否)を行えるわけではないことは通常の試用期間と同様である(神戸弘陵学園事件・最三小1990年6月5日判決)。 正社員への登用拒否(本採用拒否)には解雇の場合と同様に客観的・合理的な理由が求められる。
2022/03/08
この3月末日で雇い止めをするとの口頭での通告を突然受けたとの相談があった。 相談者は、紹介予定派遣を経て1年半ほど前に直雇いとなった、販売事務職の契約社員である。 本件は事業縮小を理由とする整理解雇事案だ。 たとえ業務上の必要性があっても、使用者は自由に有期契約社員を雇い止めできるわけではない。 本件事例において、契約社員全員の雇い止めなのか、一部のみの雇い止めなのかは、相談者に対する雇い止めの適法性を判断するに際して重要な判断要素となる。
2021/11/21
上司のセクハラ行為が原因で体調を崩し1か月ほど出勤できない状態が続いていたところ、会社から突然、無断欠勤が1か月以上続いているので就業規則の規定に基づき自然退職とするとの通知がきたが、納得ができないとの相談があった。 本相談事例の場合、会社は、欠勤者の状態や意思を積極的に確認しようとすることもなく、ただただ1か月間の経過を待って自然退職の通知を発した疑いがある。 また、欠勤の原因が上司のセクハラなど会社に原因がある場合は別の配慮が求められることも当然である。 したがって、本相談事例においては自然退職の事由(無断欠勤)に該当するという会社の主張は疑問であると言わざるを得ない。
2021/11/03
そもそも、試用期間の延長は、就業規則などで延長の可能性およびその事由、期間などが明定されていないかぎり、試用労働者の利益のために原則として認められない。 解約権留保付き労働契約と解される通常の試用関係においては、解約権が行使されないまま試用期間が経過すれば、労働関係は留保解約権なしの通常の労働関係に移行するのが原則であるからである。 さらに試用期間の延長が退職勧奨とセットで提示されたことは、会社が留保された解約権を行使した場合に解雇事案として法的に争われるリスクを回避する目的で、労働者の自主的な退職をうながすための手段として試用期間の延長が持ち出されたことが窺われる。
2021/10/26
退職に伴い社宅を明け渡す際、園から自己負担なしで提供されていた借り上げ社宅の家賃6か月分(42万円)の支払いを求められたとの相談があった。 借り上げ社宅を無償で提供しながら、入社後1年未満で退職した場合は遡って社宅の賃料相当分を請求するという契約は、労働者の退職の自由を確保するという、労基法16条の趣旨に反する違法な契約と言わざるを得ない。
2021/10/17
使用者は、有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて雇用されている労働者にかかる有期労働契約を更新しない場合には、契約の期間が満了する30日前までに、その予告をする義務がある。 他方、労働契約法19条は、労働者が更新を期待することについて合理的な理由がある場合に使用者が当該労働者の更新の申込みを拒否することに対して、解雇制限法理に準ずる高いハードルをもうけている。 更新により長期間働くことを前提として契約したときなど更新を期待することに合理的な理由がある場合、納得できない更新拒否はたとえ雇用期間が短期間であっても争うことができる。 納得のできない更新拒否にあったら、泣き寝入りしないで異議を申し立てよう。
2021/09/07
弁護士は2つの点で誤っている。 ①離職証明書と離職票を混同していることと、②離職理由について労使間で争いのある場合の取り扱い したがって、離職理由についての主張の違いは、使用者が離職票交付手続き(離職証明書のパローワークへの提出)を拒否する正当な理由とはならない。
2021/08/30
使用者が手続きを行おうとしない場合は、まずは、事業所の所在地のパローワークに相談して、ハローワークから指導してもらうことをお薦めします。 使用者の対応は雇用保険法上の明確な義務違反なのですから、ハロ-ワークには義務違反状態を解消するために使用者を指導する責任があります。 それでも、使用者が応じない場合は次の方法があります。 ハローワーク(公共職業安定所長)に対する①資格喪失の確認の請求と②離職票の交付請求です。

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