☆アスペルガーを理由とする内定取消☆

アスペルガーであることを会社に伝えたら内定が取り消されたという労働相談を受けた。

内定決定後の内定者合宿への参加など予定された手続きも済み後は入社予定日を待つだけの状態であった。

 

相談者は、日頃から気になっていたことがあったので、たまたま精神科を受診したところ、アスペルガー症候群であるとの診断を受けた。

会社の担当者にその旨を伝えたところ、担当者から口頭で内定を取り消す旨の通知を受けたとのことである。

 

アスペルガーを理由とする内定取消ならば、会社の対応は違法・不当であるといわざるを得ない。

相談者には内定取消の理由を文書でもらうようにアドバイスした。

 

でも、なぜ、間近に入社を控えた相談者が受診結果をそのまま会社に伝えたのか疑問を感じた。

普通は自分に不利になる可能性のある情報は隠したがるものである。

プライバシーにかかわることでもある。

 

その疑問を率直に相談者に尋ねたら、嘘をつくことが苦手なのだという回答であった。

「正直すぎること」は、アスペルガー症候群の特徴のひとつといわれる。

コミュニケーションにおいて「空気が読めない」という欠点であると評価されることが多い。

 

先日、国連で環境問題について演説したスウェーデンの16才の高校生であるグレタさんのことを思い出した。

彼女は自らがアスペルガー症候群であることを公表している。

グレタさんは、「アスペルガーは病気ではなく、ひとつの才能です。・・・アスペルガーでなかったら、こうして立ち上がることはなかったでしょう。」とfacebookで発言している。(直井)

 

 

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☆カフェでの労働相談料1000円は安いか、高いか?☆

ほっとユニオンは、カフェでの労働相談1回につき1000円の相談料をお願いしています。

労働相談には社会保険労務士の資格を持つ執行委員が対応します。

相談時間は一応1時間をメドとして考えていますが、かりにオーバーしても追加料金をとることはありません。

なお、カフェでのコーヒー代は各自が自分の飲食した分を負担します。

 

カフェでの労働相談においては、相談者の抱える労働トラブルの具体的な解決策について相談します。

労働局へのあっせんの申立て、裁判所への労働審判の申立て、ユニオンに加入して会社への団体交渉申入れなどが検討対象となります。

 

相談者の指定するカフェに相談員が出向くなど、ユニオンとしてはできるだけ相談のハードルを低くする方法を採っています。

相談料についても無料という選択肢は考えられますし、現に無料の労働相談を実施している機関はあります。

しかし、ほっとユニオンを以下の理由から労働相談を有料にしています。

 

相談料をとることにはもちろんユニオンの運営費上の理由がありますが以下の理由もあります。

無料にすると相談内容の幅が際限なく広がり、現に抱えている労働トラブルの具体的な解決を目的とするのではなく、単に話しを聴いてもらいたい、愚痴を聴いてもらいたいなどカウンセリング的な相談が増える傾向があります。

もちろん、そのような相談に対応することも大切ですが、ほっとユニオンの労働相談は具体的な解決策を提案してその実現をお手伝いすることを目的としています。

 

他方、1時間5000円とのか市場相場の相談料を徴収すると、相談者に消費者というスイッチが入り、すべてお任せの対応を期待されてしまうおそれが生じます。

相談というサービスを料金を支払って買っているのだという気持ちになりがちです。

相談者はコスパを優先し、一緒に労働トラブルの解決策を模索するという、労働組合である、ほっとユニオンのコンセプトと相容れなくなります。

 

ほっとユニオンは労働者の共助の組織である労働組合です。

労働トラブルの解決のお手伝いをしますが、組合員となった相談者と一緒に会社と対峙するというのが基本です。(直井)

 

 

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☆「非正規と言うな!」厚生労働省通知の怪☆

厚生労働省が省内の部局に、「非正規」や「非正規労働者」という表現を国会答弁などで使わないよう求める趣旨の通知をしたことについて、新聞社が確認のため情報公開請求をしたところ、慌てて通知自体を撤回したとの新聞報道(2019年9月1日「東京新聞」)を目にした。

 

「非正規というな!」通知は、安倍首相が最近やたらに使っている「非正規という言葉をこの国から一掃する」という発言に対する担当部署としてのひとつの「回答」とみていい。

嗤ってしまうといいたところだが、薄ら寒さも感じる。

「非正規」という言葉の力を弱めることで、「非正規」の現実を覆い隠そうというとなのだろう。

 

一般に、有期雇用、派遣、パートなどを総称して「非正規労働者」と呼んでいる。

正規労働者(正社員)の対立概念として使われる言葉だ。

正社員でない働き方、非正社員ともいわれることもある。

 

「非正規」と一括りにした使われ方をするするのは、共通する特徴があるからだ。

不安定な雇用とセットになっている劣悪な労働条件である。

さらに問題なのは、仕事を通じての新たな技能習得の機会が乏しいことから、非正規から抜け出すことができずに、低所得階層として固定化しつつあることだ。

 

正社員として働きたいのに正社員として就職することが難しく派遣労働者や有期雇用労働者として働くものは確実に増え続けている。

正規・非正規労働者の格差問題は、労働力の売買をも市場の自由競争に委ねることを求める、新自由主義政策の下に実施された労働法制の規制緩和の負の結果だ。

 

政策の抜本的な転換なしに非正規問題の解決はない。

政府が旗を振る「働き方改革」は働く者、働かせる者のどちらを向いているのか疑問である。(直井)

 

 

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☆給与明細がもらえない!☆

給与明細がもらえないという労働相談があった。

話しを聴くと、この8月に退職し、最後の給与は銀行口座に振り込まれたが、金額が予想よりかなり少なかったので、内訳を確認したいとのことでした。

 

給与明細とは、給与の支払いの際に従業員に交付されるもので、一般的には出勤・欠勤日数などを記載した「勤怠項目」、基本給、業務手当、残業手当などを記載した「支給項目」、給与から控除された源泉所得税や社会保険料などの金額を記載した「控除項目」からなります。

普段は支払い賃金額を確認するだけで何気なく捨ててしまうこともある書面です。

しかし、給与明細には、賃金だけではなく、残業時間、源泉徴収税額、社会保険料、雇用保険料など、多くの重要な情報が記載されています。

賃金請求権の消滅時効期間との兼ね合いで2年分くらいは保管しておくことをお薦めします。

 

このように重要な書面ですが、労働基準法には「給与明細」という書面の交付について、特に定めはありません。

ただし、労基法に関する行政通達(H10.9.10基発第530号)においては、給与を口座振込で支給する場合は以下の事項を記載した「賃金の支払いに関する計算書を交付すること」が定められている。

「(1)基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額、(2)源泉徴収税額、労働者が負担すべき社会保険料額等賃金から控除した金額がある場合には、事項ごとにその金額、(3)口座振込み等を行った金額」

 

また、賃金には全額払いの原則(労基法24条1項本文)から、毎月の賃金額から一定の金額を控除するには個別の法律の定めがあることが求められます。

源泉徴収税については所得税法(231条)、健康保険料については健康保険法(167条3項)、厚生年金保険料については厚生年金保険法(84条3項)があり、それぞれ控除額を労働者に通知することが求められています。

 

たとえば、所得税法231条1項には「金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払いを受けるものに交付しなければならい。」と記載されており、明確に明細書の交付を使用者に義務づけています。

 

以上のとおり、給与明細の交付は使用者の法的な義務です。

くだんの相談者には、「法律で給与明細を交付することが定められていること」を使用者に説明した交付を求め、それでも、使用者が給与明細の交付を拒否した場合は、先に挙げた行政通達を根拠として労働基準監督署に使用者に対する指導を求めることをアドバイスした。(直井)

 

 

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