☆離職票がもらえない!(その2)☆

使用者に離職票の交付手続きを依頼したのに、退職から2週間以上経過しても離職票が届かないので、ハローワークに失業手当の申請手続きの相談に行ったら、そもそも使用者から資格喪失届がいまだ提出されていないことが判明したとの相談を受けた。

 

退職に際しての使用者とのトラブルなどが原因で使用者が離職票の交付のために必要な手続き(ハローワークまたは退職者への離職証明書の提出または交付)を行わないため、退職者が離職票を添えての失業手当の申請手続きができないで困ることがあります。

使用者の嫌がらせであることが多い。

 

退職者が離職票の交付を希望していない場合を除き、事業主は退職日から10日以内に資格喪失届とともに「離職票」の交付に必要な「離職証明書」をハローワークに提出する義務があります(雇用保険法施行規則7条)。

ハローワークは事業主からの資格喪失届及び離職証明書の提出を受けて、通常、事業主を通じて、退職者に対して離職票を交付することになります(雇用保険法施行規則17条2項)。

 

使用者が手続きを行おうとしない場合は、まずは、事業所の所在地のパローワークに相談して、ハローワークから指導してもらうことをお薦めします。

使用者の対応は雇用保険法上の明確な義務違反なのですから、ハロ-ワークには義務違反状態を解消するために使用者を指導する責任があります。

 

それでも、使用者が応じない場合は次の方法があります。

ハローワーク(公共職業安定所長)に対する①資格喪失の確認の請求と②離職票の交付請求です。

 

①資格喪失の確認の請求

 

通常、ハロ-ワーク(公共職業安定所長)は、事業主からの資格喪失の届出により被保険者でなくなったことの確認を行います(雇用保険法9条)。

事業主が資格喪失届をハローワークへ提出しない場合、退職者は、直接ハローワーク(公共職業安定所長)に被保険者でなくなったこと(資格喪失)の確認をするように請求をすることができます(雇用保険法8条)。

 

②離職票の交付請求

 

通常、ハローワークによる離職票の交付は、使用者が資格喪失届に添えて提出する離職証明書に基づいて行われます(雇用保険法施行規則17条1項)。

使用者の作成する離職証明書は、ハローワークが離職票を退職者に交付するための重要な書類です。

 

使用者が離職証明書を作成しようとしない場合は、「やむを得ない理由」があるとして、退職者は離職証明書なしでハローワークに直接離職票の交付を請求することができます(雇用保険法施行規則17条3項)。

 

 

具体的な手続きは事業所を管轄するハローワークに相談してください。(直井)

 

 

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☆シフト制のパート・アルバイトの有給休暇☆

週3日ないし4日のシフト制で働くアルバイトが有給休暇の申請をしたところ、使用者の代理人弁護士からシフト制のアルバイトには有給休暇は認められない、と以下の内容の通知があったとの相談があった。

 

「労基法39条3項において、その適用対象とされているのは、「一週間の所定労働日数」が定められている労働者に限ります。本件において、会社と貴殿との間の労働契約において、貴殿の所定労働日数は定められておらず、貴殿が自由に出勤日数を調整できるものです。したがって、所定労働日数の定めがなく、貴殿が自由に決められる契約内容において、そもそも有給休暇を取得する法的権利を有しません。」

 

確かに、相談者が週5日勤務のフルタイムではないことから、労基法39条2項の定める通常の日数の有給休暇の付与は認められない。しかし、労基法39条3項の比例付与の対象とはなる。

 

労基法39条3項は、「通常の労働者の一週間の所定労働日数」と「当該労働者(パート、アルバイトなど短時間労働者)の一週間の所定労働日数」との比率を考慮して当該労働者(パート、アルバイトなど短時間労働者)に対しても勤務日数に応じた有給休暇を付与すべきことを定めている。

 

問題となるのは、シフト制などで週の所定労働日数がまちまちの働き方をしているパート・アルバイト(非定型的パート・アルバイト)の取り扱いである。

これについて、行政通達(平成16年8月27日「都道府県労働局長あて厚生労働省基準局長通知」基発0827001号)は以下のとおり述べている。

 

「非定型的パートタイムヘルパー等について、年次有給休暇が付与される日数は、原則として基準日において予定されている今後1年間の所定労働日数に応じた日数であるが、予定されている所定労働日数を算出し難い場合には、基準日直前の実績を考慮して算出することとして差し支えないこと。したがって、例えば雇い入れの日から6箇月経過後に付与される年次有給休暇の日数については、過去6箇月の労働日数の実績を2倍したものを「1年間の所定労働日数」とみなして判断することで差し支えないこと。」

 

この通達は直接的には訪問介護労働者に関して述べられたものであるが、労働日数が非定型的な働き方をしているパート・アルバイトについては、業種に関わらず適用されるものと解される。

したがって、有給休暇の比例付与の日数について、相談者のような非定型的なシフト制のパート・アルバイトの所定労働日数は、基準日における今後1年間の所定労働日数ではなく、基準日前の実績によって算出されることになる。

 

会社側弁護士のいう、シフト制においては所定労働日数の定めがないから比例配分の有給休暇は法的には発生しないとの主張は、労働者保護法である労基法の趣旨を全く無視したご都合主義の解釈であるといわざるを得ない。(直井)

 

 

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