景気が悪いので、今月から君の給料は3万円下げさせてもらったよ。」と事後報告されたり、「あなたの勤務成績が良くないので、来月からの給料は20%ダウンとなります。」と一方的に賃金ダウンを通告されたりして、どうすれば良いかわからないといった相談を受けることがあります。
そのまま放置をしておくと、賃金ダウンの申し出を承諾したと判断されることにもなりかねません。月日が流れる前に、きちんと「納得していません!」ということを宣言し、未払いとなっている賃金の差額分を書面で請求しておきましょう。
<こんなふうに対応する>
① 「賃金を下げる!」と通告されたら、「生活があるので困ります!」とか「ローンの支払いがあるので勘弁してください!」とか言って、納得できない旨の意思表示をする。
② そして、賃金を下げられる前の「労働条件通知書」や「給与明細書」を取っておく。
③ さらに、賃金が下げられた後の「給与明細書」と取っておく。
④ 一連の出来事を忘れないために、いつ、誰に、どのような方法で、どのような理由で賃金が下げられたのか、メモを取っておく。
⑤ その上で、できるだけ早めに、未払いとなっている賃金の差額を文書にて請求する。
⑥ 当事者間での解決が難しい場合には、「労働相談カフェ東京」(03-5834-2300)に電話しアドバイスを受けましょう。(電話相談は無料、受付時間は平日9時~18時です!)
<賃金減額や変更の法的ルールのポイントを知っておきましょう!>
◆ 労働契約の重要な要素である賃金については、原則、一方的には減額するすることは許されません(労働契約法第8条)。
◆ ただし、役職制度や職務資格制度等により賃金の減額や変更がなされる場合においては、就業規則や労働契約にきちんと人事考課制度が制度化され、それに基づき行われる場合には許されます。
◆ とはいっても、会社の行う人事考課(査定)が客観的に著しく不合理に行使される場合には、裁量権の濫用(民法第1条3項、労働契約法第3条5項)にあたり、損害賠償を請求することが可能となります。
◆ 就業規則を変更することによっても、制度的に賃金を減額することもできますが、こうした変更を会社が行うためには、高度の必要性と内容の合理性がなければなりません(労働契約法第9条、同第10条)。
(労働紛争解決アドバイザー 横川)