新型コロナウイルスの感染拡大による小学校などの休校で、従業員に特別有給を認めるよう促す助成制度をめぐり「会社側が利用してくれない」との相談が相次いでいる。年次有給とは別に有給休暇を認めた場合に支払われた給料を補填(ほてん)する仕組みだが、会社が上限額を超えた分の負担を嫌がり申請に消極的なケースがあるという。支援団体は従業員目線に立って制度を利用するよう訴え、厚生労働省も上限額の引き上げを検討している。(岡本祐大)

 幼児2人を育てる兵庫県の会社員女性は、勤務先に特別有給を申し出た。子供が通う保育所が、保護者が医療従事者や警察、消防などの場合以外での受け入れを制限しているからだ。

 しかし、会社からの指示は年次有給の消化。特別有給を認めない明確な説明はなかった。年次有給を使い切れば、子供が病気で出勤できないときには欠勤になる不安もある。「年次有給を完全取得させたい思惑があるのかも」と会社への不信感を募らせる。

 厚生労働省は3月、小学校や幼稚園、保育所などの休業を受け、「小学校休業等対応助成金」を創設。企業が年次有給とは別に、小さな子供を持つ従業員に給料を全額支払った上で休暇を認めた際に、給料の一部(1日8330円が上限)を助成する仕組みだ。今月17日時点で約1万6千件の申し込みがあった。

 ただ、「勤め先が制度を利用してくれない」との声は根強い。労働者を支援するNPO法人「労働相談カフェ東京」によると、従業員が制度の利用を会社に要請したが、「申請手続きが煩雑」などと断られるケースが相次いでいるという。

 横川高幸理事長は「助成金に上限があるため会社側が追加の負担を嫌がっているようだ。従業員が不利益を受けないよう制度を活用してほしい」と訴える。

 厚労省も各地の労働局を通じて企業に利用を促すよう求めているが、長引く休校で企業の負担が増加していることもあり、上限額引き上げの検討を急ぐ。制度は6月いっぱいまでの特別有給が対象で、すでに年次有給で対応していても事後的に特別有給に振り替えた場合も有効になる。

 一方、企業が独自に特別休暇制度を導入するケースもある。富士通は6月30日まで、年次有給とは別に10日まで有給扱いの特別休暇を付与。さらに子育てや介護などの理由で勤務が難しい場合は、給料の8割を補償する形で休暇を認める。同社は「学校や保育園の休校で勤務困難になった従業員の支援につなげたい」としている。