突然の配転命令(職務内容や勤務場所の変更命令)に「納得がいかない!」「断ることはできないのか?」「断ったら解雇されるの?」「そんな仕事したくない!」「これは私を退職に追いやるための命令だと思う!」「結局、会社を辞めるしかないの?」・・・など、配転に関する相談も後を絶ちません。
実際のところ、会社の配転命令権については、裁判においても、①就業規則に配転命令の定めがあり、②職種や勤務地を限定する旨の合意がない場合には、会社側に広い裁量権を認めています。すなわち、会社が労働者の同意なしに配転命令を命じることが広く認められているのが現状なのです。
さらに、配転命令に不服のある場合、会社に対して異議を述べることになりますが、配転命令に従わないでいると、就業規則上の懲戒事由に該当し、懲戒解雇になってしまう恐れもあります。まさに、去るも地獄残るも地獄の状態、人生の転機であると言えます。
それでは、会社の配転命令には絶対に従わなければならないのでしょうか?
一般的に会社側に広い裁量権が認められているとはいえ、会社の配転命令に対し納得がいかないと相談されてくる労働者の方には、それなりの理由があることがほとんどです。すなわち、法的に配転命令の無効を主張できるケースであることが多々あるのです。
まずは冷静になって、法的に配転命令の無効を主張できるケースか否かを判断しましょう!
<こんなふうに対応する>
① 会社の就業規則や労働条件通知書等に配転に関することが明記してあるか確認する。
⇒ 会社に配転命令をする権利の根拠がない場合には、当該配転命令の無効を主張できることになります!
② 入社の際、就業場所や職種などについて限定する約束(特約)をしてたか確認する。
⇒ 特約をしていた場合には、原則として、会社の配転命令に対し、労働者が同意しない限り当該配転命令は有効にはなりません。同意できない場合は「同意できません!」と、きっぱりと言いましょう!
③ 会社の配転命令が「権利の濫用」と評価されケースに該当するか否か確認する。
⇒ 仮に会社に配転命令をする権利の根拠があったとしても、下記のようなケースの場合には、配転命令権の濫用にあたり無効を主張できることになります。
④ 異種の職種への配転命令で「信義則」に反するケースに該当するか否か確認する。
⇒ 単に異職種間の配転だからといって、当然に無効となるわけではありません。雇い入れ当時の労働契約の内容、その後の職務の特殊性、専門性、経験の長さ、配転後の職種に対する適性、収入の変化等諸般の事情を考慮して、「信義則」に反するか否か判断されます。裁判例の傾向からいえば、具体的には、下記のような配転命令の場合は、無効と判断されています。
⑤ 上記①~④に該当する場合には、会社に対し、配転命令について承諾できない旨、きちんと通知しましょう。
⑥ 当事者間での解決が難しい場合には、「労働相談カフェ東京」(03-5834-2300)に電話しアドバイスを受けましょう。(電話相談は無料、受付時間は平日9時~18時です!)
<異議通知の通知方法を知っておきましょう!>
〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇様
配転異議通知
私は貴社より、平成〇〇年〇〇月〇〇日付辞令により、〇〇事業部〇〇店への勤務を命じられましたが、当該配転命令には承服できません。
なぜなら、私は入社するにあたり、△△店でずっと勤務することを条件に入社したからです。(配転命令に承服できない理由や根拠があれば、ここで明確にしておきましょう!)
つきましては、辞令を撤回して頂くよう申し入れます。
平成〇〇年〇月〇日
東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号
△△店 氏名 〇〇 〇〇 印
※この異議通知のコピーを取っておくこと
※郵送する場合は、配達証明郵便など記録の残る方法で送付すること
※あくまでも記載例の見本です
(労働紛争解決アドバイザー 横川)