☆高度プロフェッショナル制度の嘘☆

安倍政権が「働き方改革」の旗の下に導入を目指している「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の本格的な議論が国会で始まろうとしている。

高プロは高度な専門知識を持ち、一定の年収がある働き手を労働時間規制から外す制度として設計されている。

第1次安倍政権が2007年に導入を目指したが「残業代ゼロ法案」と批判され挫折した「ホワイトカラー・エグゼンプション」の焼き直しである。

 

高プロは、昨今、社会問題化している過労死を生む長時間労働撲滅の動きに逆行するものとの危惧が立憲民主党など野党から指摘されている。

これに対し、政府は、提案している高プロには1075万円という年収条件があり、会社側と交渉力のある労働者にしか適用されないからそのような心配は当たらないと説明する。

 

しかしながら、そもそも会社と対等な交渉力がある労働者は存在するのだろうか。

雇う側と雇われる側とは、その立場が取り替え不能な固定したものであり、力関係・交渉力において雲泥の差がある。

 

ヒト、モノ、カネなどのさまざまな資材を調達して運営する会社にとって個々の労働者は取り替え可能な人材に過ぎない。

これに対し、これといった資産を持たず賃金によって日々の生活を支えている労働者にとって、会社を辞めるという選択は生活の基盤を失うということを意味する。

 

例え1000万円を超える年収を得ている労働者であっても、この理屈に変わりはない。

もっとも、開かれた労働市場において同様な労働条件で他の使用者に雇用されることが常に保障されているほど希少価値のある労働者なら別である。

 

しかし、そのような希少な労働者を前提として労働法制の規制緩和の論拠とするのは暴論といわざるを得ない。(直井)

 

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