☆サービス残業代は賞与で精算?☆

日常的に発生しているサービス残業について社長に苦情をいったところ、今回の冬の賞与(2か月分)の支給に際し社長が賞与にはこれまでのサービス残業代が含まれていると述べた。

これに対して残業代の具体的な内訳を示した明細を要求したが応じないとの相談があった。

 

年2回の賞与に未払い残業代が含まれているから、未払いの残業代はないという主張は固定残業代の一変形ともいえる。

何時間分として何円の固定手当が支払われるなど内訳の説明のない固定残業代は違法である。

 

そもそも賞与と残業代とは同じ賃金といっても性質が異なる。

賞与に含めれているという残業代の内訳の説明を求めるのは労働者の当然の権利であり、使用者はこれに応じる義務がある。

 

この会社の給与の支払い方法は、月給制で毎月20日締め当月25日払いと就業規則に規定がある。

賃金については、労基法24条が、①通貨で、②直接労働者に、③全額を、④毎月1回以上、⑤一定の期日を定めて支払わなければならないと定めている。

賃金支払いの5原則だ。

 

賃金支払いの原則から、残業代は当然毎月25日に他の給与と一緒に支払う義務が使用者にある。

この点からも会社の対応は違法である。

いずれにしても、この社長の主張は無茶苦茶だと言わざるを得ない。(直井)

 

 

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☆固定残業代の違法運用に注意!☆

固定残業代の違法運用が後を絶たない。

固定残業代とは、あらかじめ毎月の残業代(ないし残業時間)を決めておき、実際にはそこまで残業しなくても事前に決めた固定の残業代が支払らわれる仕組みである。

労働時間管理および残業代計算事務の省力化のためと説明されることもある。

 

居酒屋に勤めているという相談者が来た。

連日の長時間労働のためメンタル不調となり辞めたいと申し出たが、引き留められて困っているという相談であった。

 

話しをよく聴くと、毎日午前12時のミーティングから始まり、帰宅するのは翌日午前2時ころとの過酷な長時間労働である。休日も毎週1日のみである。

持参した給与明細をみると、基本給等19万6千円と固定残業手当4万円の記載がある。

 

使用者は固定残業代だけ払えば、何時間残業させてもいいと考えているようだ。

月4万円(相談事例では約28時間相当)では労基法37条等に則って計算された実際の残業時間(相談事例では約150時)に見合った残業代に遙かに及ばない。

 

固定残業代の適法要件については、議論がある。

事前の固定残業代(金額)の明示だけでなく、それに対応する時間の明示も必要だ、かつ、それを超えて働いた超過部分は清算するという合意ないし清算しているという実態がなければならないという最高裁判決の補足意見がある。

固定残業代の金額の明示のみで足り時間の明示まで必要でない、超過部分は清算するという事前の合意または支払っているという実態まで必要ない、との見解もある。

 

しかし、固定残業代を超えた超過残業部分の支払い義務が使用者にあることには争いがない。

超過残業代の清算払いをしないという運用は明確に違法である。

相談者には、断固、超過残業代を取り立てるようにアドバイスをした。(直井)

 

 

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