☆給与明細がもらえない!☆

給与明細がもらえないという労働相談があった。

話しを聴くと、この8月に退職し、最後の給与は銀行口座に振り込まれたが、金額が予想よりかなり少なかったので、内訳を確認したいとのことでした。

 

給与明細とは、給与の支払いの際に従業員に交付されるもので、一般的には出勤・欠勤日数などを記載した「勤怠項目」、基本給、業務手当、残業手当などを記載した「支給項目」、給与から控除された源泉所得税や社会保険料などの金額を記載した「控除項目」からなります。

普段は支払い賃金額を確認するだけで何気なく捨ててしまうこともある書面です。

しかし、給与明細には、賃金だけではなく、残業時間、源泉徴収税額、社会保険料、雇用保険料など、多くの重要な情報が記載されています。

賃金請求権の消滅時効期間との兼ね合いで2年分くらいは保管しておくことをお薦めします。

 

このように重要な書面ですが、労働基準法には「給与明細」という書面の交付について、特に定めはありません。

ただし、労基法に関する行政通達(H10.9.10基発第530号)においては、給与を口座振込で支給する場合は以下の事項を記載した「賃金の支払いに関する計算書を交付すること」が定められている。

「(1)基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額、(2)源泉徴収税額、労働者が負担すべき社会保険料額等賃金から控除した金額がある場合には、事項ごとにその金額、(3)口座振込み等を行った金額」

 

また、賃金には全額払いの原則(労基法24条1項本文)から、毎月の賃金額から一定の金額を控除するには個別の法律の定めがあることが求められます。

源泉徴収税については所得税法(231条)、健康保険料については健康保険法(167条3項)、厚生年金保険料については厚生年金保険法(84条3項)があり、それぞれ控除額を労働者に通知することが求められています。

 

たとえば、所得税法231条1項には「金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払いを受けるものに交付しなければならい。」と記載されており、明確に明細書の交付を使用者に義務づけています。

 

以上のとおり、給与明細の交付は使用者の法的な義務です。

くだんの相談者には、「法律で給与明細を交付することが定められていること」を使用者に説明した交付を求め、それでも、使用者が給与明細の交付を拒否した場合は、先に挙げた行政通達を根拠として労働基準監督署に使用者に対する指導を求めることをアドバイスした。(直井)