☆解雇を撤回された、困った!☆

解雇を撤回され出社を会社から求められた、困惑しているとの相談を受けた。

復職したくない、どのように対応したらいいかという相談である。

話を聴くと、以下の事情があった。

 

弁護士に依頼して不当解雇の撤回を求める内容証明郵便を郵送した。

しかし、相談者の本音は、復職ではなく金銭解決を求めることにあった。

 

弁護士からは、はじめから金銭解決(損害賠償)を求めるのではなく、まずは解雇無効を主張して復職を求めたほうが交渉上有利だとアドバイスをうけた。

弁護士のアドバイスに従ったが、それが裏目にでたということだ。

 

原則として、解雇の意思表示が労働者に到達した後は、使用者がこれを一方的に撤回することは許されない(民法540条2項)。

ただし、従業員の同意があれば話は別です。

本件の場合、従業員が解雇の撤回を求めていたことから、同意があったと解される。

 

正当な理由なく出社を拒否すれば、それを理由に改めて解雇を言い渡されるリスクがある。

撤回日以降の賃金を請求することも難しくなる。

 

したがって、いったん復職をして様子をみる以外ないように思える。

しかし、どうしても復職をしたくないのならば、解雇日から撤回日までの未払い賃金の支払いを受けて退職するのも一つの選択肢だ。

 

ただし、出社前に以下のような復職条件についての交渉をする余地はある。

・撤回日から復職指定日までの期間が短い場合、出社準備のための期間を求めること。

・復職後の就労場所、就労条件が明確でない場合、会社に説明や協議を求めること。

・解雇日から撤回日までの賃金の取り扱いについて不明の場合は、撤回までの未払い賃金の支払いを求めること。

 

復職条件の交渉がまとまらないうちは、会社の受領拒否が続いているとしてその間の賃金を請求することも可能です。

なぜなら、解雇の撤回により、それ以降の賃金が発生しないというためには、その前提として、会社が労務を受領しないとの態度を改めて、受領拒絶状態を解消する措置を講じる必要があるとされているためです。(直井)