カテゴリ:労働条件不利益変更



2020/12/31
社長から突然、経営不振および相談者の能力不足を理由として賃金の切り下げを言い渡された。 突然のことで反論もできないまま「分かりました。」と答えざるを得なかった。 後になって冷静に考えてみると給与減額には納得でき労働条件の不利益変更は使用者が一方的に言い渡せるわけではない。 労働契約法8条は、「労働者及び使用者は、その合意により、労働条件を変更できる」と規定する。 労働者との合意抜きの使用者の一方的な給与減額通告には法的効力はない。 合意は労働者の自由な意思に基づくものであることが前提となる。 裁判実務においては、労働条件の不利益変更に対する労働者の合意の認定に際して、使用者との交渉力の違いを考慮した上で、厳格、慎重な判断がなされる傾向がある。 本件における労働者の「わかりました。」は社長が言っていることは理解しましたという意味で断じて賃金切り下げに同意したという意味と解されるものではない。
2020/10/11
現在、コロナ禍で在宅勤務中の方から相談があった。 会社からオフィス勤務か在宅勤務かを選択し、新たな労働条件への同意書に署名するように求められた。 在宅勤務を希望する場合は賃金が1割ほど減額する。 通勤の煩わしさやコロナの感染リスクを考えるとオフィス勤務には戻りたくない、とは言っても、在宅勤務で賃金減額は困る。 「新しい生活様式」(在宅勤務)が賃金減額とセットになっている。 何か変ではないかとの相談であった。
2020/05/23
コロナ禍による業績不振を理由として、①賃金の大幅な減額を伴う本社管理部門から店舗のスタッフへの異動を提示され、それが嫌なら、②自己都合退職してもらう、どちらかを選択して欲しいと社長からいわれた。 どう対応すれば良いのか、との相談があった。 会社から、①労働条件の不利益変更を受け入れるか、さもなくば、②自主退職か、との二者択一を迫られたとの相談は少なくない。