☆傷病手当金の会社による代理受領☆

傷病手当金の申請手続きを会社に依頼したところ、会社による代理受領を委任する欄に署名押印を求められたが、納得がいかないとの相談があった。

相談者はメンタルを病んで休職中であり、加入している健康保険は協会けんぽである。

 

傷病手当金は被保険者である従業員が申請することになっているが、在職中は会社経由で申請書を保険者に提出する取り扱いが一般的である。

また、傷病手当金は、保険者(協会けんぽ)から被保険者(従業員)に支払われるものであることから、支払い方法としては直接本人口座へ振り込む方法が一般的である。

ただし、保険者が健康保険組合である場合、会社による代理受領の取り扱いをし、一旦会社口座に振り込むという取り扱いをしているところも少なくない。

 

会社が代理受領を求める理由は、社会保険料の従業員負担分の控除のためと思われる。

会社は、社会保険料の従業員負担分と会社負担分を併せて毎月保険者に支払っている。

従業員負担分については通常は毎月の給与から控除する。

休職などのため支払い給与ゼロの月も会社は従業員負担分を含め保険料の支払い義務がある。

従業員負担分については会社はいわば従業員に立て替えて保険者に支払うことになる。

 

相談者には、会社に代理受領の取り扱いを求める理由及び法令上の根拠の説明を求めて、それでも納得がいかないのならば、会社経由ではなく、自分で申請書を作成し、直接保険者に提出することをアドバイスした。

もっとも、この場合には、会社証明欄は会社に記載してもらう必要があることから、会社とトラブルを起こしているとスムーズにいかないおそれもある。(直井)