カテゴリ:解雇と合意解約



2021/11/03
そもそも、試用期間の延長は、就業規則などで延長の可能性およびその事由、期間などが明定されていないかぎり、試用労働者の利益のために原則として認められない。 解約権留保付き労働契約と解される通常の試用関係においては、解約権が行使されないまま試用期間が経過すれば、労働関係は留保解約権なしの通常の労働関係に移行するのが原則であるからである。 さらに試用期間の延長が退職勧奨とセットで提示されたことは、会社が留保された解約権を行使した場合に解雇事案として法的に争われるリスクを回避する目的で、労働者の自主的な退職をうながすための手段として試用期間の延長が持ち出されたことが窺われる。
2019/04/06
解雇か合意解約かの判断には微妙なところがある。 「明日から来なくていい。」など解雇を窺わせることを言われたら、「解雇ですか?」と会社の意思を確認することが大事である。 同じ辞めるにしても、解雇予告手当の有無が異なるし、解雇か合意解約かでは失業保険給付の取り扱いも異なる。 解雇であるとの回答があったとき、解雇理由に納得がいかないのならば、労働基準法が規定する解雇理由証明書を求めることも選択肢である。
2018/08/05
日頃の連絡をラインでしながら、解雇の言い渡しは電話でする使用者がいる。 解雇ではなく、合意退職という形式を望むからである。 「このままだと続けて働いてもらうことは難しそうだ。」「あなたはこの職場には合わないようだ。」とかの遠回しな言い方で、従業員から「では、辞めます。」という言葉を引きだそうとする。 短い字数で端的に要件を伝えるラインには不向きな会話である。 相談者は、解雇されたのか、合意退職したのか、自分でも不明確な状態で相談にきた。 基本的な事実関係があいまいだと相談を受ける側にとってもアドバイスが難しい。
2018/06/11
社長から経営が苦しいので来月から賃金を切り下げるといわれた。 それに対し、相談者が、減額された賃金では生活ができない、賃金を切り下げるなら辞めるほかないと言ったら、社長から、では辞めて下さいといわれ、そのままずるずると退職扱いになってしまった。 会社から賃金の切り下げを迫られた場合、そんなら辞めてやると啖呵を切るまえに一呼吸おいて冷静に考えてみることが大切だ。 一方的な賃金の切り下げには同意しないこと、退職する意思のないこと、をはっきりと社長にいうことが大切である。 後で不当解雇として争うことを考えているならば、書面はなくとも、賃金切り下げに応じないならば解雇するとの社長の発言は明確にしておくことが必要である。