☆裁判所で解決した場合の特別組合費(解決金カンパ)☆

ユニオンの特別組合費(解決金カンパ)について聞きたいという遠方からの電話相談があった。

ほっとユニオンの特別組合費についてのお尋ねかと思ったが、話しを聞くとそうではなかった。

次のような話しだ。

 

定年退職後の再雇用拒否についてユニオンに加入して使用者と争った。

団体交渉は持たれたが、交渉が膠着したため、相談者は裁判での解決を求め、地位確認と賃金の支払いを請求し訴訟を提起した。

弁護士を捜し、依頼したのは相談者自身である。

ユニオンの紹介があったわけではない。

着手金など裁判費用は相談者が全て負担した。

 

訴え提起後、地方裁判所の判決がでるまで2年ほど経過した。

その間、ユニオンの組合員が裁判傍聴に来てくれた。

地裁判決では相談者の請求はほぼ認められたが、会社が控訴したため、争いの場は高等裁判所に移った。

高裁では裁判所の和解勧告があり、結局、約1800万円の金銭和解で解決した。

 

その直後、ユニオンの書記長に呼び出され、裁判所で得た和解金から弁護士費用など裁判にかかった費用(約300万円)を控除した額(約1500万円)の2割を特別組合費として支払って欲しいとの話しがあった。

相談者が、どうして払わなくてはならないのとか尋ねると、組合加入時に約束したはずだといわれた。

 

自宅で手持ちの資料を調べると、確かに、組合加入時に受けとった書類の中に「組合加入に際しての約束」との表題のあるA4・1枚の紙があった。

そこには、月例組合費(月額2,000円)とは別に特別組合費(組合の団体交渉、裁判などで使用者から獲得した金員の2割を特別組合費として組合に納めること。)との記載がある。

 

相談者としては、ユニオンによる団体交渉で解決したならともかく、自分で費用負担して提起した裁判での解決で得た和解金について特別組合費を請求されることは納得ができない。

 

法的には組合加入時に取り交した「約束」の解釈の問題であると説明し、電話相談は終わった。

 

ほっとユニオンも月1,000円の月例組合費のほかに団体交渉で得た解決金の2割を特別組合費として納めてもらっています。

しかし、団体交渉が不調に終わり、相談者が自ら弁護士を依頼した裁判で解決したときは、特別組合費の対象とはしておりません。

 

費用の話しは大事です。

ユニオンに加入して闘うにしろ、弁護士に依頼して裁判を提起するにしろ、費用については、始めに納得できるまできちんと確認することをお薦めします。(直井)