YouTubeなどSNSを宣伝に活用する会社は少なくない。
次のような相談があった。
事務職として採用された女性が受付業務に従事していたところ、女性の顔が写っている事務所の受付風景がYouTubeにアップされていることに気づいた。
女性は自分の顔がSNS上に晒されることに不安を感じ、社長に削除を申し入れたところ、社長は、YouTubeなどSNSは会社の重要な宣伝手段だ、SNSへの顔出しができないならば辞めてもらうほかない、と逆ギレした。
どうにかならないかとの相談だ。
容貌はその人を特定できる要素であることから重要な個人の情報です。
自己の情報をコントロールする権利(プラバシー権)として、SNSへのアップは拒否することはできます。
使用者といえども、従業員の容姿等を勝手にSNSにアップすることは、プライバシー権としての肖像権(みだりに自己の容姿等を撮影され、これを公表されない権利)の侵害にあたります。
無断でSNSへアップされたものの削除を求めることもできます。
当然ながら、SNSへのアップを拒否したしり、アップされた画像の削除を要求したことで、解雇など不利益取り扱いをすることは許されません。
SNSへのアップ拒否が正当な解雇理由となりえないことは論をまたない。(直井)
電話よりLINEでのやりとりのほうが気楽なのか、LINEで日常的な会話を楽しむ人が増えている。
職場の愚痴もしかりである。
職場の同僚との飲み会でもっとも盛り上がある話題は上司の悪口である。
しかし、職場の飲み会と同じのりでSNSにより上司の悪口を交わすのはリスクがある。
積極的に自分からは悪口をいわなくても、相手のいう悪口に相づちをうつ消極的な同意も危ない。
突然、解雇を言い渡され呆然として訪れた相談者(女性)Aがいた。
話しを聞いてみると、職場の同僚(男性)Bとの不仲が社長のいう解雇理由であり、職場環境を悪化させたことを理由に二人とも解雇を言い渡されたとのことであった。
けんか両成敗にしても無茶な話しである。
労働局のあっせんの場で提出された社長の意見書を読むと、トラブルは、相談者AとLINEで頻繁にやり取りをしていた女性社員Cとの関係がこじれたことに端を発する。
相談者Aが女性社員CとのLINEのやり取りの中で男性社員Bなど同僚・上司への悪口に相づちをうっていたのが災いしたようだ。
女性社員Cは相談者との間が気まずくなったこともあり退職したのだが、退職の置き土産に相談者AがLINEで同僚・上司の悪口をいっていたと告げ口をしたようである。
これが原因となって、もともと関係が必ずしも良好ではなかった男性社員Bが相談者Aに攻撃的な態度をとるようになった。
二人の反目で職場全体の環境が悪くなったとする、社長の解雇理由は無茶苦茶であるが、そのようなトラブルを呼び込んだのは相談者Aの安易なLINE上の女性同士の悪口のつきあいにあった。
LINEでの悪口は記録に残ることから危険である。
なお、労働局のあっせんは相談者Aの退職の同意と引き替えに会社からの金銭の支払いで解決した。(直井)