☆解雇と合意解約の間☆

以下のような相談があった。

小さな街の不動産屋に1年近く働いたが、社長のやり方になじめないことから、退職を申し出た。

その場で、社長から「明日から来なくていい」「今日中にロッカーなどにある私物を持ち帰るように」と言われ、何も言い返せないまま、机やロッカーなどにある私物を持ち帰り退社したことである。

 

相談者は会社の都合も考慮したうえで、退職日を話し合いで決め、円満退職することを考えていた。

不当な解雇に当たるのでないか、すくなくとも給与30日分の解雇予告手当は請求したいと相談者は憤っている。

 

解雇か合意解約かの判断には微妙なところがある。

「明日から来なくていい。」など解雇を窺わせることを言われたら、「解雇ですか?」と会社の意思を確認することが大事である。

同じ辞めるにしても、解雇予告手当の有無が異なるし、解雇か合意解約かでは失業保険給付の取り扱いも異なる。

 

解雇であるとの回答があったとき、解雇理由に納得がいかないのならば、労働基準法が規定する解雇理由証明書を求めることも選択肢である。

 

「明日から来なくいい」「今日中に私物を整理して持ち帰るように」との突然の社長の暴言に頭が真っ白になり、黙って私物を整理して退社した後、しばらくして冷静になってから、不満が募り相談にくる人が後を絶たない。(直井)

 

 

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☆LINEでの解雇通知☆

不当解雇されたとの相談があった。

話しを聞くと、解雇にいたるまでは、LINE(ライン)上で使用者とやり取りが数多く確認できるのに、なぜか相談者がいうところの不当解雇の言い渡しなるものがいまひとつ不明確なのである。

 

現在、LINEは、電話にかわって、若者たちの基本的な連絡ツールになっている。

従業員が数名という小規模企業においては、私的な連絡だけではなく、業務上の連絡をLINEで行う職場も珍しくない。

従業員は急な休暇の届け出など使用者への連絡にLINEを日常的に利用している。

電話よりも気軽に使え、記録も残り便利だからであろう。

 

しかし、使用者は解雇の言い渡し場面ではラインの使用には慎重である。

本件においては、体調を崩し休んでいた相談者が使用者と休暇の取得を巡ってラインでやり取りをしているとき、突然、使用者が電話で話したいといってきた。

折り返しの使用者からの電話は、退職の勧奨という形式をとった解雇の言い渡しであった。

 

このように日頃の連絡をラインでしながら、解雇の言い渡しは電話でする使用者がいる。

解雇ではなく、合意退職という形式を望むからである。

「このままだと続けて働いてもらうことは難しそうだ。」「あなたはこの職場には合わないようだ。」とかの遠回しな言い方で、従業員から「では、辞めます。」という言葉を引きだそうとする。

短い字数で端的に要件を伝えるラインには不向きな会話である。

 

相談者は、解雇されたのか、合意退職したのか、自分でも不明確な状態で相談にきた。

基本的な事実関係があいまいだと相談を受ける側にとってもアドバイスが難しい。

 

使用者からこのような電話をもらったとき、「解雇の言い渡しならばLINE(または書面)でお願いします。退職の勧奨ならばお断りします。」と勇気をもってきっぱりいうことを勧めます。

あいまいなまま追い込まれた退職が一番不満が残ります。(直井)

 

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☆辞めてやると啖呵をきる前に☆

次のような相談があった。

相談者は、アルバイトを含めて従業員2、3名の零細企業におけるたった一人の正社員であるである。

零細企業ではよくみられることだが、採用に際して契約書(または雇用条件通知)の交付もない。

 

社長から経営が苦しいので来月から賃金を切り下げるといわれた。

それに対し、相談者が、減額された賃金では生活ができない、賃金を切り下げるなら辞めるほかないと言ったら、社長から、では辞めて下さいといわれ、そのままずるずると退職扱いになってしまった。

 

社長からは時を置かず会社のカギの返還や健康保険証などの返還を求められた。

しかし、退職願いの提出を求められたわけでもない。

不当解雇だと、解雇理由証明書を求めたら、解雇ではない合意解約だと言われた。

 

よくあるパターンである。

合意退職か解雇かが争われる場合、最終的には裁判で決着をつける以外方法はない。

 

不当解雇だとして労働者が裁判で争う場合、解雇されたことは、労働者側が証拠を示して立証する必要がある。

本件のように手続きがすべて口頭でなされため、解雇通知書など客観的な証拠がない場合、社長との発言のやり取りなど面倒な立証の必要が生じる。

 

会社から賃金の切り下げを迫られた場合、そんなら辞めてやると啖呵を切るまえに一呼吸おいて冷静に考えてみることが大切だ。

一方的な賃金の切り下げには同意しないこと、退職する意思のないこと、をはっきりと社長にいうことが大切である。

後で不当解雇として争うことを考えているならば、書面はなくとも、賃金切り下げに応じないならば解雇するとの社長の発言は明確にしておくことが必要である。(直井)

 

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