☆「いじめ」とパワハラ☆

中小企業で働く女性からの「いじめ」の相談があった。

職場内の女性グループから「無視」をされるという陰湿な「いじめ」を2年以上にわたって受け続けているということだった。

 

「いじめ」は子どもの世界だけにあるものではない。

直接顔を合わせて活動する集団においては、大人の世界でも「いじめ」は存在する。

 

集団において全員の考えがいつも一致するわけではない。

考え方や行動様式の違いがあったりして、多数派が生じ多数派に与しない人は疎んじられることになる。

日本社会に根強く存在するムラ社会における同調圧力だ。

これがエスカレートしたのがいじめだ。

 

いじめに対する一番の解決策は、その集団から抜けることだ。

子どものいじめが深刻なのは、学校という集団から抜け出すことが困難であることに原因がある。

職場におけるいじめの深刻さも同様に職場という集団から抜け出すことの困難さに原因がある。

 

子どものいじめは学校管理者が対応することが求められる。

職場のいじめは事業主が対応することが求められる。

 

改正労働施策総合推進法30条の2(パワハラ防止法、2020年6月1日施行、ただし中小企業は22年4月1日施行)は、以下のとおり規定する。

「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること(「パワハラ」)のないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」

 

また、指針において職場におけるパワハラの例の一つとして「一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立化させること」を挙げている。

したがって、相談事例はパワハラ防止法がいうパワハラに該当するものであり、使用者が相談に応じたり、パワハラ研修の実施など雇用管理上の措置を講ずることを求められるものである。

 

しかしながら、職場における少数者を排除しようとする心理は日本社会に広く根付いているムラ社会に起因するものであることから、職場研修などを実施しても即座に払拭されることが期待できるものではない。

「悪いのはいじめるほうだ」という正論が簡単には通らないという残念な現実がある。(直井)

 

 

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☆小ユニオンの弱点・陰湿ないじめ退治☆

3年前にリストラ退職勧奨を断って以来、2度の転勤や最低評価の人事考課が続いたことによる減給、些細なミスを大袈裟にしての叱責、廻りにアイツはダメなやつだと言いふらすことなどの陰湿な嫌がらせが絶えない。

少しでも嫌がらせをやめさせることができないかとの相談があった。

 

相談者が弁護士に相談したところ、法に触れないように慎重に考えた上での意図的な組織ぐるみの嫌がらせと考えられること。

悪質ではあるが、法的な対応は難しいとのことであった。

そこでユニオンの団結の力で多少なりとも会社を牽制できないかと期待しての相談であった。

 

社内のいじめ退治の一番効果的な方法は職場に愚痴をいえる仲間を作ることです。

しかし、社内に何の足場のない社外の組織であるユニオンにはそのようなお手伝いは難しい。

 

また、不当解雇などの個別的労働紛争を主に取り扱う小規模なユニオンは、会社との交渉において、労基法、労働契約法など労働法規を交渉の武器として会社の違法不当な行為を攻撃するのを常とする。

不当ではあるが違法とまではいえない社内の陰湿な嫌がらせ退治についての団体交渉は困難だ。

 

嫌がらせ行為が違法と評価されるほど強く明確なものならば、裁判を見据えて強い態度で団体交渉に臨むことができる。

そうでない場合、社内においては当該一人の組合員のみを組織するにすぎないユニオンは職場内での団結の力の裏付けを欠く交渉を強いられることになる。

 

ユニオンはしばしばその組織力の弱さを補う補完的な闘争手段としてマスコミを味方につけ、当該個別案件を社会問題化して闘う手法をとる。

会社が著名な大企業であるとか、違法行為が世間の目を引くものであるときは有効であるが、本件相談には不向きだった。

会社が法に触れないように注意して行う陰湿ないじめ行為については、団体交渉をしても、そのような事実はない、人事権の範囲の行為だ、上司による適法な指導だ、などと言い逃れられると、追求に詰まってしまうことが多い。

 

なお、改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が2020年6月に施行される(ただし、中小企業は2022年4月施行)。

しかし、同法は、端的にパワハラを違法行為として罰則をもって禁止するものではなく、苦情などに対する相談窓口の整備などパワハラ防止のための雇用管理上の措置を企業に義務づけるものに過ぎないことから、この法律が施行されても直ちに本件相談者の希望にそうことは期待できない。(直井)

 

 

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☆傷病手当金申請手続きに協力しない使用者への対応策☆

ほっとユニオンは団体交渉での自主解決が行き詰まったとき、次の手段として、労働審判(裁判所)や労働委員会に解決の場を移すことににしている。

 

労働審判は、残業代未払いや不当解雇などで使用者の行為の違法性の立証が比較的容易な場合に利用する。

労働審判は、裁判所の手続きであるが審判まで至らず、調停(話し合い)手続きで解決することが多い。

労働者が求めている解決内容が金銭の支払いである場合に有効である。

 

これに対し、労働委員会における和解手続きは窓口が広く柔軟性がある。

法的請求権として使用者に強制することが事実上困難な事案にも有効である。

形式的には不誠実団交ないし団交拒否の不当労働行為として申立てをする。

しかし、実際は和解手続きにより団交内容(労働者と使用者間のトラブル)の実質的な解決を図ることが可能である。

 

先日、傷病手当手金の申請手続きをめぐる争いが労働委員会の和解手続きで解決した。

退職をめぐる争いのなかで傷病手当手金の申請手続きに協力しようとしない使用者に困り果てた労働者がほっとユニオンに相談にきてユニオンに加入した。

ほっとユニオンは団体交渉を申し入れたが、交渉は一向に進展しなかった。

使用者の露骨な嫌がらせである。

 

ユニオンは労働委員会に使用者の対応は実質的な団交拒否にあたるととして救済申し立てをした。

労働委員会での和解手続きの中で使用者が傷病手当基金申請手続きを行う旨の和解が成立した。

 

使用者・従業員間でこじれた感情の問題もあり、ユニオンによる対面での交渉では説得しきれなかった使用者を労働委員会の公益委員、労働者委員、使用者委員が上手に説得してくれたのである。

公労使の三者構成の仕組みをもつ労働委員会の真骨頂の発揮といえる。

 

もっとも、傷病手当金申請手続きにおける使用者の協力は健康保険法上の使用者の義務である。

保険者である協会けんぽが強力に使用者を指導してくれれば、このような形での労働委員会活用法も無用になるだろう。(直井)

 

 

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☆離職票がもらえない!☆

使用者から離職票がもらえないで困っているとい相談を受けることがある。

正確にいえば離職票はハローワークが発行するものであり、使用者が作成するのは離職証明書であり、かつ、その提出先はハローワークである。

離職票と離職証明書とは混同されることがあるので、以下、簡単に説明する。

 

ハローワークの「離職された皆様へ」との表題の手引きには、失業給付の「受給手続きに必要なもの」として、「離職票-1及び離職票-2」(以下併せて「離職票」という。)の記載がある。

また、同手引きの表紙上部の囲い込み欄には、「事業主へのお願い・・・離職票1,2ともに必ず離職者にお渡し下さい。」との記載がある。

 

使用者は離職者がでたとき、ハローワークに雇用保険被保険者資格喪失届けとともに雇用保険被保険者離職証明書(3枚複写、事業主控え、ハローワーク提出用、離職票-2)を提出する。

ハローワークは、離職票-1とともに離職証明書の複写になっている離職票-2を会社に送付する。

会社は離職票1、2を退職者に送付する。

 

離職票-1には、退職者の氏名や生年月日など基本情報が記載され、

離職票-2には、賃金支払い状況や離職理由などが記載される。

 

会社から離職票の交付を受けられない場合は、そもそも会社が離職証明書をハローワークに提出してない場合が多い。

そのような場合、ハローワークに会社を指導してもらい、離職証明書の提出させることが一番簡単だ。

 

それでも、会社が応じない場合は、手間はかかるが、ハローワークに雇用保険被保険者であることの確認の請求をして失業給付の手続きを進める方法がある。

 

社労士ユニオンであるほっとユニオンはそんな相談者のお手伝いをします。(直井)

 

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☆職場のいじめ相談☆

 相談者が納得できる即効性のある解決策を示せないため対応に苦慮する相談は職場のいじめに関する相談です。

 

 退職に追い込むことを目的とした会社が主導する仕事外しや隔離のような深刻な相談もあります。

 しかし、ほとんどの相談は、きつい言葉を投げかけられたなど一つ一つはささいな不愉快な出来事であるが、その積み重ねの結果、職場が辛く感じるというものです。

 厚労省が指導の対象とするパワハラとまでは言い切れない、一つ一つは小さなしかし執拗に続けられる職場のいじめに係る相談です。多くは上司や先輩社員によるものです。

 

 来客の前でわざわざゴミ箱の片付けを命じるのはパワハラですよねと、同意を求める相談者もいる。

 男性上司の同僚の女性社員に対する対応と相談者に対する対応が違うのはパワハラではないかという相談もある。

 外からみれば些細なできごとに見えるものでも、毎日の積み重ねによって相談者にとっては、職場でのやる気を失わせ、辞めたくなるような深刻な問題となっている。

 

 パワハラ相談の場合、社内にパワハラなどの相談窓口があるときはまず社内の手続きの利用を勧めることにしている。

 しかし、そのような相談窓口を有しているのは規模の大きな企業に限られる。

 

 あっせん申請を前提として行政である労働局長の指導・助言を求める手続きもあるが、ひどい暴言など明確にパワハラに該当するような事実を指摘できない事案には不向きです。

 

 話しを聴いていて、職場に安心して愚痴をいえる仲間が一人でもいれば解決する問題であると感じるものも少なくない。

 残念ながら、職場の外にある地域ユニオンには取り扱い困難な相談です。

 カウンセリングの範疇にはいる相談ともいえます。(直井)

 

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