カテゴリ:2019年3月



2019/03/30
3月15日、コンビニ店主が求めるフランチャイズ(FC)本部と団体交渉する権利は認められないとの判断を示した中央労働委員会の命令が出された。 コンビニ店主が労働組合法上の労働者に当たらないとの判断が示された。 これを不服とする店主側は中労委命令の取消訴訟を提起するとのことなので、法的な意味での決着は裁判所に持ち越されることになる。 純法的観点からは、本件はコンビニ店主が労組法上の労働者に当たるか否かについての労働組合法の解釈を巡る争いである。 しかし、社会的に集団的な枠組みが求められる関係は厳として存在する。 今、集団的な枠組みの再認識が求められている。
2019/03/23
試用期間として有期契約を利用する例は少なくない。 使用者は通常の試用期間とは違って、有期契約としての試用期間ならば期間満了を理由として解雇(雇い止め)が容易であると考えているのであろう。 しかし、試用期間か否かは、契約の形式ではなく実態で判断するのが裁判所の立場であり、有期雇用が試用期間であると判断される場合は、単に期間満了を理由とする解雇は許されない。 本採用を拒否する合理的な理由が必要である。
2019/03/17
パワハラ防止策に取り組むことを企業に義務づける法改正案が閣議決定(3月8日)された。 正直に言えば、会社外の労働組合であるユニオンにとって、パワハラ相談は対応に困る相談のひとつであった。 パワハラは、セクハラと異なり、法律上の定義規定がなく、具体的な防止措置を講ずることが企業に義務付けられていないことが大きな壁であった。 企業にパワハラ防止措置を講ずることを義務づける法律の制定はパワハラ撲滅への大きな一歩となることが期待される。 ユニオンにとっても、新たな法規定を手がかり足がかりとして、パワハラ問題について使用者と交渉することがより容易になる。 早期の法改正を期待したい。
2019/03/09
ネット情報などによると、退職するには2週間前にその旨を会社に伝えればよいと聞いているが、そのとおりか。 2週間云々は、民法627条に基づくものであり、期間の定めのない雇用契約である正社員に適用がある規定だ。 残念ながら雇用期間の定めのある契約社員には適用がない。 有期雇用契約に基づく契約社員に適用のある民法628条は、期間途中の解約の申出には「やむを得ない事由」を要求している。 労働条件が初めの約束とは違うとか、長時間労働で体調を壊しそうだとかの事情がこれにあたる。
2019/03/02
スポーツジムのインストラクターから退職手続きについて相談を受けていた。 私は残っている年次有給休暇を消化したうえで退職するという手順を提案した。 相談者がその旨を社長に申し出たら、怒った社長は即時解雇を言い渡した。 明らかな違法・不当な解雇である。 ユニオンに加入した上での団体交渉申入れ、労基署への相談、労働審判の申立てなどいくつかの選択肢を提案した。 持ち帰って家族とも相談して決めるということになった。 1週間後、相談者から検討結果の報告メールがあった。 あえて闘わないということに決めたとの報告であった。