☆時系列メモの作成☆

 対面での労働相談を受けるとき、相談者の抱えるトラブルが発生した経緯についてできるだけ丁寧に聴くことにしている。鳥瞰図的に当該トラブルを客観的に観るためです。もっとも、相談者が説明する事実の経緯に多少の曖昧さが残っても、当該トラブル解決のための方策(会社面談同行、あっせん、団体交渉、労働審判など)を相談する初期の段階ではとくに障害とはならない。

 

 しかし、具的的にトラブル解決のために使用者との交渉を進める段階になると話しは別である。曖昧な部分を残したまま安易に使用者との交渉に入ると、使用者から予期せぬ反論・反撃を受け、その場で適切な再反論ができず言葉に詰まってしまうことがある。書面手続が中心の司法的な手続の中で、提出済みの書面に記載した事実に間違があると判明したときは対応に苦慮する。

 

 当事者の曖昧な記憶をもとにしても、抽象的に双方が口頭で主張を述べ合う場面では問題が顕在化しないことが多い。しかし、具体的な事実として書面に記載する場面では、記憶の曖昧さが問題となる。裁判官など第三者を説得するためには解雇の経緯など当該トラブルの基本的な出来事についてはできるだけ具体的に記載することが重要です。

 

 時系列メモの作成において、5W1H(Who(誰が)What(何を)When(いつ)Where(どこで)Why(どうして)How(どのように))を明確にした記載が基本です。正確な日にちは意外と覚えていないものですが、その場合でも、○月中旬ころとかできるだけ特定することが大切です。

 

 私は、時系列メモを作成のうえ相談に来ることを相談者にお願いすることにしています。(直井)