☆賞与は払うよ!でも、年収は同じだよ!☆

1年更新の契約社員として働いている友人から、来年度は少額ではあるが賞与が出そうなので嬉しいとの話しを聴いた。

労基法の労働時間規制を排除する高度プロフェッショナル制度の新設など問題が指摘されることが多い「働き方改革関連法」ではあったが、同一労働同一賃金についてはいいこともあるのかと期待したくなった。

 

ところが、最近、期間1年の有期契約で働いている契約社員から愚痴のような相談があった。

使用者より新年度からの新しい契約条件が示された。

賞与は払うことにする。しかし、同時に月例給与を調整する。

結論としてプラス・マイナス・ほぼゼロとなり、年収ベースではほとんど変化なしである。

 

働き方改革関連法にかかる「同一労働同一賃金ガイドライン」(2020年4月1日施行)は、賞与について「問題となる例」として以下の事例を挙げている。

「会社の業績等への労働者の貢献に応じて賞与を支給している会社において、通常の労働者(正社員)には職務の内容や会社の業績等への貢献等にかかわらず全員に何らかの賞与を支給しているが、短時間・有期雇用労働者(非正規社員)には全く支給していない。」

 

厚生労働省のガイドラインの上記内容を踏まえると、正社員に賞与を支給している場合に、正社員と同種の仕事をしている契約社員に全く賞与を支給しないということは違法と判断される可能性が高い。

 

くだんの使用者は、働き方改革関連法の施行により契約社員の賞与ゼロはまずいということになり、賞与を出すことにした。

しかし、総人件費の増加を押さえるため、月例の賃金を減額することで調整をするということなのだろう。

ふざけた話しである。(直井)

 

 

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☆非正規差別に係る二つの最高裁判決☆

正社員と非正社員の待遇格差が、労働契約法が禁じる「不合理な格差」にあたるかが争われた二つの訴訟(ハマキョウレックス訴訟、長澤運輸訴訟)の判決が6月1日、最高裁判所で下された。

ともに非正社員のトラック運転手が正社員との待遇の格差の是正を求めた訴訟だ。

 

最高裁の判断は分かれた。

手当ての有無が主に争われた、ハマキョウレックス訴訟では、正社員に支払われる5手当(無事故手当・作業手当・給食手当・通勤手当・皆勤手当)が、同じ職務の契約社員に支給されないのは「不合理」と判断した。

 

一方、定年後に再雇用された嘱託社員3名が、定年前と同じ業務に従事しているのにもかかわらず賃金が切り下げられたのは違法だと争った、長澤運輸訴訟では、正社員との待遇格差の大半を容認した。

 

労働契約法20条は、雇用期間の定めの有無で労働条件に不合理な格差をつけることを禁じている。

不合理な格差にあたるかどうかは、①仕事の内容や責任の程度、②当該職務の内容や配置の変更の範囲、③「その他の事情」を考慮して判断される。

 

最高裁は定年退職後の再雇用である長澤運輸訴訟では、「その他の事情」として「嘱託乗務員は定年退職後に再雇用された者であり、一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けることができる」などの事情を摘示し、一定程度の処遇の低下は「不合理な格差」には当たらないと判断した。

 

労働条件の相違が不合理であるか否かの判断は法律の文言によって一義的に決まるものではなく規範的評価を伴うものだ。

 

したがって、正規・非正規の「不合理な格差」を是正するためには、働く現場で異議を申し立て続けることが不可欠だ。(直井)

 

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☆契約社員の格差の是正手段☆

日本郵便で配達などを担当する契約社員3名が、正社員と同じ仕事なのに手当や休暇の制度に格差があるのは労働契約法20条に違反するとして、同社に手当の未払い分計約1500万円の支払いなどを求めた訴訟で、9月14日、東京地裁は一部の手当や休暇について「不合理な差異に当たる」と述べ、同社に計約90万円の支払いを命じた(2017年9月15日「朝日新聞」)。

 

労働契約法20条は、正社員と契約(有期雇用)社員との間での不合理な待遇差別を禁じた規定です。

民主党政権下の2012年8月の労働契約法改正(2013年施行)によって新設された。

同時に有期雇用社員の無期転換ルール(5年ルール)を定めた18条も新設された。

ともに非正規労働者の労働条件の改善を目指した労働者保護のための画期的な規定といえる。

 

しかし、法律ができれば即、非正規労働者の労働条件が改善されるほど現実は甘くない。

法律の規定を職場に適用させるには現場の労働者の絶え間ない監視や不当な取り扱いに対する異議申し立てが不可欠です。

 

しかし、現実には使用者と労働者との間のは圧倒的な力の差がある。

個々の労働者が個別に声を挙げても使用者に圧殺されるのが落ちです。

本来は労働組合の出番なのだが、労働組合に加入する労働者は減少し続けており、組合は弱体化している。

ほとんどの中小企業では労働組合の組織すら存在しない。

労働者保護法の拡充も必要だが、労働者保護法に実行性を持たせるためには職場集団の再生を促す集団(労働組合)法の整備も必要だ。

 

法律の規定を手がかりとする職場での集団(組合)交渉が事実上期待できない現状から、法律違反を主張して裁判による労働条件の改善を目指すということになるのだろう。

なお、3名の原告は日本郵便内の少数(極小?)組合である郵政産業労働者ユニオンの組合員である。(直井)

 

 

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