ほっとユニオンは、不当解雇・未払残業代などの労働者トラブルの相談を受けたとき、まずは使用者との話し合いである団体交渉での解決を目指します。
団体交渉においてはどのような法的権利が侵害されたかなど、具体的な権利関係を踏まえた交渉を実施します。
権利関係を踏まえた交渉を重視する理由は、交渉が行き詰まったとき、次の手段として裁判所の利用を考えているからです。
ほっとユニオンは、団体交渉が不調に終わったときは、労働審判の申立てを行うことにしてます。
裁判所に争いを持ち込むためには、労働者が法的な権利を有することだけでなく、それを証明できる証拠があることが必要となります。
事案により必要な資料は異なりますが、具体的には次のような資料が必要です。
基本的な資料は労働相談の時点で持参していただけると助かります。
①不当解雇
・雇用されていたこと(雇用契約書、労働条件通知書、給与明細書)
・解雇されたこと(解雇通知書、口頭での解雇言い渡しの場合は、何時、どこで、誰から、どのように言われたかを記載したメモでも可)
・使用者の主張する解雇理由(解雇理由証明書、書面がない場合は解雇理由について使用者が発言した内容を記載したメモでも可)
②未払残業代
・労働時間の記録(タイムカードのコピー、業務日誌のコピー、パソコンのログ記録など。なお、客観的な証拠がない場合は、自分で毎日記載したメモでも可)
・支払われた賃金などの記録(給与明細書、雇用契約書、労働条件通知書、就業規則のコピー)
③セクハラ
・セクハラ行為(メール、録音など。なお、客観的な証拠がない場合、いつ、どこで、誰が、どのように、とセクハラ行為を具体的に記載したメモでも可)
・被害の内容(メンタルクリニックの診断書など)
④パワハラ
・パワハラ行為(録音、客観的な証拠がない場合、いつ、どこで、誰が、どのように、とパワハラ行為を具体的に記載したメモ)
・被害の内容(メンタルクリニックの診断書など)
(直井)
相談者から解決金の相場について聞かれることが多い。
幅はあるが、失った賃金(ないし失う賃金)を損害として計算のうえ賃金○か月分程度と答えることにしている。
解雇案件は、解雇の違法性の強弱や相談者の年齢・勤続年数など個別の要素を考慮する。
答えが難しいのはセクハラ案件だ。
裁判におけるセクハラ行為に対する慰謝料の相場は、その行為の継続性や悪質性、性行為の有無、精神疾患の発症や、休職・退職したか等さまざまな事情が考慮される。
裁判外に和解においても、裁判における考慮要素が一般的な基準となるが、被害者の被害感情及び加害者の支払い能力も額の決定に大きく作用する。
加害者が経営者であり支払い能力がある場合など被害者の求める請求額は高額となる傾向がある。
被害女性にしてみれば、加害者が困るような額でないと溜飲が下がらないということのようだ。
そのような場合、被害者の納得をどのように得るかが和解の成否のカギとなる。(直井)