☆ユニオンが応援したい労働者☆

 昨年12月のことだが、地域ユニオンと連携して運営されている「NPO法人労働相談センター」(理事長:石川源嗣)の名称が「NPO法人労働組合作ろ!入ろう!相談センター」(略称:労働組合相談センター)に変更された。

 

 ネット上の説明によれば、労働相談の対象を従来の「労働にかかわるあらゆる問題」ではなく、「労働組合への加入、または労働組合の結成を前提とする労働相談」に絞っていきたいということだ。

 

 多くの行政機関が無料の労働相談を実施しているなか、ユニオンの関わるべき労働相談のあり方について悩んだ末の名称変更かと思う。それにしても、NPO法人としても十数年、それ以前の活動を含めると30年の活動歴があり世間にそれなりに知れ渡った名称を変更するとは思い切ったことをしたものだ。

 

 労働組合の組織率が低下しその存在感が薄れてゆく中、労働相談活動による労働者の組織化を目指すものといえる。名は体を表すというけれど、インパクトのある新名称だ。「NPO法人労働組合作ろ!入ろう!相談センター」との新名称からは、労働相談活動を通じて労働組合に結集する仲間を集めたい、という強い思いが感じられる。

 

 ほっとユニオンの労働相談活動は相談者の組織化を目的としているものではない。しかし、単なる社会奉仕の活動ではなく、労働者の共助の組織を目指している活動であるという点では共通点があると考える。そのような意味で、小さなユニオンの活動家としても、労働相談センターの名称変更に興味と共感を感じている。(直井)

 

続きを読む 1 コメント

☆契約社員の格差の是正手段☆

日本郵便で配達などを担当する契約社員3名が、正社員と同じ仕事なのに手当や休暇の制度に格差があるのは労働契約法20条に違反するとして、同社に手当の未払い分計約1500万円の支払いなどを求めた訴訟で、9月14日、東京地裁は一部の手当や休暇について「不合理な差異に当たる」と述べ、同社に計約90万円の支払いを命じた(2017年9月15日「朝日新聞」)。

 

労働契約法20条は、正社員と契約(有期雇用)社員との間での不合理な待遇差別を禁じた規定です。

民主党政権下の2012年8月の労働契約法改正(2013年施行)によって新設された。

同時に有期雇用社員の無期転換ルール(5年ルール)を定めた18条も新設された。

ともに非正規労働者の労働条件の改善を目指した労働者保護のための画期的な規定といえる。

 

しかし、法律ができれば即、非正規労働者の労働条件が改善されるほど現実は甘くない。

法律の規定を職場に適用させるには現場の労働者の絶え間ない監視や不当な取り扱いに対する異議申し立てが不可欠です。

 

しかし、現実には使用者と労働者との間のは圧倒的な力の差がある。

個々の労働者が個別に声を挙げても使用者に圧殺されるのが落ちです。

本来は労働組合の出番なのだが、労働組合に加入する労働者は減少し続けており、組合は弱体化している。

ほとんどの中小企業では労働組合の組織すら存在しない。

労働者保護法の拡充も必要だが、労働者保護法に実行性を持たせるためには職場集団の再生を促す集団(労働組合)法の整備も必要だ。

 

法律の規定を手がかりとする職場での集団(組合)交渉が事実上期待できない現状から、法律違反を主張して裁判による労働条件の改善を目指すということになるのだろう。

なお、3名の原告は日本郵便内の少数(極小?)組合である郵政産業労働者ユニオンの組合員である。(直井)

 

 

続きを読む 0 コメント

☆労働組合の法人登記の効用☆

ほっとユニオンの団交申入れの手順は以下のとおりです。

使用者との間でトラブルを抱えた相談者が組合加入の手続きをした後、速やかに当該相談者が組合に加入したことを通知するとともに団体交渉を求める書面を会社あてに郵送します。

通常は、通知が届いてから4,5日後に会社の人事労務担当者から電話連絡があり、団交期日や団交場所についての調整が交渉のスタートとなります。

 

最近の事例ですが、会社の人事労務担当から電話があり、私はいつものように日程調整の話しが始まるのかと思っていたら、お尋ねしたいことがあると、いきなりほっとユニオンに対する質問から話しが始まりました。

社外の組合との団体交渉は経験がないことから上司から確認をするように指示されたとでした。

組合規約を頂けないか、役員名簿を頂けないか、組合員名簿を頂けないかなどなど、と組合についての質問がありました。

 

私はそれぞれ理由を挙げて特別の理由のない限り使用者には開示しない旨を話しお断りしました。

電話先の担当者は困ったふうだったので、思い直し、法人登記をしていること、法務局で登記情報を得られることを話しました。

担当者はちょっと安堵した様子になり、では調べたうえで、改めて日程調整等の連絡をくれるとのことで電話は終わりました。

 

法人登記は公的な機関を介して法人の基本的な情報を開示する仕組みです。

このような法人登記をしていることは相手方会社を安心させる効果があるようです。

ほっとユニオンは、駆け込んでくる労働者にとっての安心のユニオンを目指しています。

でも、団体交渉を円滑に進めるためには駆け込んできた労働者のみならず会社にも安心感を持ってもらう必要がある。(直井)

 

 

続きを読む 0 コメント

☆組合は100%組合員の味方か☆

解雇をめぐる団体交渉の進め方について当該組合員と意見が合わず、予定していた第1回団体交渉の直前に団交を中止したことがある。

ことの始まりは、団体交渉は話し合いであるのでまとめるためには組合側も譲歩をする必要があると私が事前の打ち合わせで話したことにある。

 

当該組合員は、組合は100%組合員の立場に立つべきだから、初めから譲歩の話しをするのはおかしいとかみついてきた。

議論の詳細は割愛するが、結果として当該組合員との信頼関係が持てないと判断し、団交中止を決断した。

 

組合は100%組合員の立場に立つべきだとの意見には私も賛成である。

でも、そのことと交渉における譲歩の余地を事前に検討することとは別である。

 

個別紛争解決におけるユニオンの役割として、妥当な解決水準を示し当該労働者を説得するということがある。

不当に扱われたと感じている労働者は、使用者に対する強い憤りから強い主張に終始しがちで、ひとりでは降りられない状態に自分を追い込んでいる場合ある。

これに対し、ユニオンの相談員はある程度紛争を客観的に観ることができる。

岡目八目である。

 

もっとも、ユニオンが組合員の利益を第一に考えているという信頼を当該組合員が持てなければ、説得はユニオンの利益からの強制とみられることになり、失敗する。

ユニオンにとって組合員との信頼関係が第一である。

(直井)

 

続きを読む 0 コメント

☆ユニオンの選び方☆

不当解雇・パワハラ・セクハラなど労働トラブルを抱えた労働者が、自らの手に余ったとき、解決手段としてユニオンを選択するとき何を基準にして選ぶのだろうか。
労基署など行政機関への相談、裁判所への訴えの提起ではなく、どのような理由でユニオンによる交渉を選ぶのだろうか。

行政機関への相談は無料でお手軽だが、相談に終始し具体的な解決まで結びつかないことが多い。
行政機関は本人に代って使用者と交渉してくれるわけではない。
裁判を本人ひとりで行うのは大変である。
弁護士に依頼するには必ずしも低額とはいえない費用がかかる。
ユニオンならば、交渉もしてくれるし、安上がりだ。
ユニオンのコストパフォーマンスが一番だ。
ということらしい。

コスパ基準からのユニオン選択は一応正しいといえる。
しかし、ユニオン側にいる人間としては注意を促したいことがある。

①ユニオンは無料ではないこと。
ユニオンの運営には経費がかかり、その経費を賄うために組合費を徴収している。
相談者は組合費を支払って組合員となる必要がある。
ほっとユニオンでは月額1000円の通常組合費を徴収しいている。
また、紛争解決時に組合員が負担する特別組合費(解決金の2割相当額)の規定もある。

②ユニオンは弁護士のようにお任せの機関ではないこと。
ユニオンは組合員を助けて一緒になって使用者と交渉をするが、すべてユニオンにお任せというわけにはいかない。
ほっとユニオンでは、原則として、交渉には組合員に同席してもらう。
また、団交が不調に終わった場合、必要に応じて、労働審判への申立てなど裁判手続きの援助も行っているが、弁護士のように代理人になれるわけではない。

③一定の成果を約束するものではないこと。
ユニオンは不満に思っていることを使用者に直接言う交渉の場を設定することは約束します。
しかし、交渉で何かを勝ち取れるということまで約束するものではありません。
自分自身で上手に交渉できる自信のある「強い労働者」はユニオンを利用するメリットはありません。
ユニオンは弱者のための共助の組織です。

以上のとおり、ユニオンに加入して交渉することが必ずコストパフォーマンスが一番だというわけではありません。
でも、泣き寝入りはしたくない、使用者に自分の受けた不当な取り扱いについて直接異議を申し立てたいというひとにはお役にたてます。(直井)

2 コメント